本の感想日記

読書の感想などを書く日記代わりのブログです。

【読書日記】御手洗潔シリーズ『占星術殺人事件』part1

読書の習慣を付けたいと思い、ブログで読書日記を始めました。今のところ、目標は一週間で一冊。慣れている人には「それだけ?」と思われるかもしれませんが、今の自分には割と精一杯です。

 

さてさて。

新しい本を読もうと思ったので、やる気のある内に即行動。ネットで書籍を探し始めました。

ジャンルは取り敢えずミステリ。理由は犯人が分かるまでは途中で飽きないかな、と考えたためです。それで、最初はホームズ・シリーズで読んでいない作品を読もうかとも思っていたんですが、有名なミステリ作品の並びを眺めていたときに気になる物を見つけました。

ーー『御手洗潔シリーズ』。

「御手洗」と書いて「みたらい」と読む。探偵の名前のインパクトで覚えていた作品です。

今回読む『占星術殺人事件』は、島田荘司による、御手洗潔シリーズの一作目です。御手洗潔シリーズは2015年にドラマ化されていますが、私は見たことがありません。

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購入時の(1分で終わった)葛藤

プロローグ 

不思議な事件(題材となる「占星術殺人」)が起きてから四十年以上が経過しているが、犯人が見つかっていないことが述べられています。また、物語の中で解答がなされる前に、読者は答えに辿り着くことが可能であると記されていました。私も出来るところまでは頑張ってみようかと思いました。

 

AZOTH

※アゾート。水銀という意味だが、フィクションの中で出てくるときは「賢者の石」という意味合いが強い気がする。この物語の中では「哲学者のアゾート(石)」と述べられていた。

この章は丸ごと『AZOTH』という題の作中作で、梅沢平吉という人物が自身の遺言状代わりに作成した小説です。自叙伝っぽいのかな。

正直に言って、一部に入る前から情報過多でした。現場で推理というものとは異なり、情報を基に推理を行うタイプなので、特に。こういうタイプのミステリは読んできたことなかったです。ドラマだと、『未解決の女 警視庁文書捜査官』と構図が近いのかな。迷宮入りしそうな事件の真実を「文字」から紐解く、という意味で。あのドラマも原作は小説なので、いつか読みたいです。

話を戻します。

『AZOTH』の話を掻い摘むと、梅沢平吉という男には元々怪物が潜んでおり、怪物そのものと化した梅沢平吉が、理想の女「アゾート」を作り出そうとしている話でした。その中で、「アゾート」の肉体を作るために適した星座宮の六人の処女が必要だと述べられ、屋敷の中には丁度六人の娘達がいること、そして、その人数の娘達が屋敷にいる理由を語られ、梅沢平吉の過去・恋愛遍歴と続きます。

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ミステリ定番のドロドロとした人間関係

↑これでも、登場人物は全員ではありません。

ミステリによくある様に人間関係が複雑です。梅沢平吉は結構奔放な男性です。性癖は本人の自由ですが、不安定で強引で、尽くやらかしています。

探偵の性格がヤバイって評価でしたが、探偵登場前から凄まじい人物が出てきた!って感じました。ミステリの登場人物って変わり者が多いし、これはある意味定番なのかもしれませんが…。

 

I 四十年の難問

やっと探偵・御手洗登場。正確に言うと、彼は探偵ではなく占星術師です。語り手は、助手の石岡和己。石岡は約一年前のちょっとした事件がきっかけで御手洗の教室に入り浸るようになっています。そして、無料で助手をしているらしいです。石岡はミステリ中毒者で現在まで社会の謎として生き残っているものは大体本で読んで知っており、当然、日本を震撼させた「占星術殺人事件」の詳細や四十年間でなされた推理も把握しています。反対に、御手洗は世の中に興味がないため事件の名前事態聞いたことがありません。そんな二人の元にーーつまり、御手洗の占星術教室にーー飯田という婦人が現れ、自分はかつて「占星術殺人」に関わった当事者の娘であり、まだ誰の目にも触れていない証拠資料を渡す代わりに事件を解決するように依頼されます。あれ、探偵っぽいな。

占星術事件は大きく三つの事件からなっていました。

⑴梅沢平吉が被害者の密室殺人

⑵別居する長女・一枝が被害者の強盗殺人

⑶梅沢平吉の屋敷に住む六人の娘が被害者の狂気殺人(アゾート)

※先の『AZOTH』とは登場人物の名前が異なる

⑴⑵⑶は起こった順番で並んでいます。ここで既におかしいことが一つ。⑶の事件を計画したのは梅沢平吉である筈なのに、⑶が怒る前に彼は亡くなっています。また、この三つの事件の中で⑵の事件だけが浮いているんです。

事件について一通り石岡に質問した御手洗は、いよいよ推理を始めます。

はじめに飯田が持ってきた資料に目を通さずに、⑴の事件から順番に御手洗は推理していきますが、推理速度は優れているものの、四十年間に警察や国民が推理してきた推理の中には御手洗の推理と同じものがあり新しい解答が出せません。

飯田の資料がない状態でも、⑴の事件単体なら「こういうトリックでいけば出来そう」というラインまで届いています。

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御手洗の言動は今のところ戸惑いこそすれ、個人的には許容範囲でした

いよいよ、御手洗と石岡は飯田が持参してきた資料を目にします。それは飯田の父親である文次郎が残した手記でした。

 

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